このコンサート、確か次は…。
「次が見たかったんだ。ほんとは、帰ってくる前に見ちゃうつもりだったんだけど」
そう言う彼女は、いたずらっ子の瞳をしていた。
「まったく…。恥ずかしいよ、こんなの見るの」
「いーの、あたしが見たいんだから」
『次は、俺が初めて作詞させてもらった曲です』
画面の中の俺が、話し出す。
『…大切な人を想って、書きました』
この言葉を言うのに、すごく勇気を出した覚えがある。
ふと横を見ると、彼女も俺を見ていた。
優しく微笑んだ彼女が愛しくて。
俺は、そっとキスをした。
『聞いてください、I to Y』
君だけに、贈る歌。
<完>

