夏休みの魔法


『そういえば、題名』


「うん?あ、意味分かんないんだけど。あれ」


聞こうと思って忘れてた。


『え、分かってくれなかった?』


「分かんないよ。なに、Yって。Youってこと?」


そしたら、あなたへの私?


『違う違う。…俺から君へって意味にしたかったんだけど、よく分かんなくて。出てきたのがtoだったんだよね』


…いや、北斗くんの言ってることがよく分からない。


『…イニシャル』


「へ?」


『優来のイニシャル、Yだろ。俺から優来へってのが、ほんとの意味』


「え…」


驚きで、目が見開く。


『Youって意味でカモフラージュできるし、いいかなって。まあYouにしても優来へなんだけど…って、聞いてる?』


「ごめん…びっくりしちゃって」


『なら大成功だ』


いたずらっ子の目をして笑っている北斗くんが、目に浮かぶ。