夏休みの魔法


「北斗」


お父さんが、北斗くんの前に出てきた。


「…はい」


急にしーんと静まり返った


「優来を、幸せにしてくれるんだろうな」


「はい」


「大切にしてくれるんだろうな」


「はい、必ず」


「…それなら、優来を頼んだぞ」


「はい!」


「僕からも、お願いするよ。妹をよろしく」


未来にぃ…。


「はい」


「優来ねぇは扱いにくいかもしれないけど、いいお姉ちゃんなので、お願いします」


「希来、扱いにくいってなに!?でもいいお姉ちゃんっていうのはありがとう!」


あたしが突っ込むと、希来は、


「そのまんまじゃん」


と言って笑った。


「ツンデレか、ツンデレなのか!」


「なにいってるの、そんなわけないし」


やっぱり希来はツンデレだっ!


「…え、弟くん…?」


あ、北斗くんが混乱してる。


そっか、兄が二人って言ってたもんな…。


「はじめまして、弟の希来です」


「あ、はじめまして、如月北斗です」


「知ってます、蒼くんからも優来ねぇからもよく聞くので」


「蒼と優来から…?」


げ…。


「「希来、余計なこと言わなくていい!」」


…見事に、あたしと蒼の声がハモった。