お母さんとの抱擁が一段落ついたので。
「…あ、お母さん。こちら北斗くん」
北斗くんを紹介…っていっても、知ってるんだけど。
「はじめまして、如月北斗です」
「はじめまして、優来の母で、木崎重吾の妻です」
お母さんはあたしを離してあいさつをした。
「よかったらあがっていって。みんないるから」
「…みんな?」
あたしと北斗くんは顔を見合わせた。
「ふふっ。…ほら、どうぞ。ああ、優来、荷物は全部部屋にあるわ」
「あ、うん…。…北斗くん、行こっか?」
「じゃあ、おじゃまします…」
あたしたちはお母さんの言うことがよく分からずも、家に入った。

