夏休みの魔法


家に着くと、5時30分だった。


「ここだよ、あたしの家」


「うわ、ほんとに蒼の家と隣なんだな…」


「え、あたし言ったっけ?」


蒼と幼なじみだって言った記憶ないんだけど…。


「あー、社長に教えてもらった。蒼の家は、前来たことあったし」


「そっか」


ピンポーンとインターホンを鳴らす。


ああ、久しぶりの我が家…。


『はい』


返事をしたのは、お母さんだった。


「ただいま!」


『優来!?』


それだけ言うと、ブチッときれた。


そしてすぐに、家のドアが開いた。


「優来…!」


出迎えてくれたのは、満面の笑みのお母さん。


「お母さん…ただいま」


「おかえり!」


お母さんはあたしをぎゅっと抱きしめた。


「よかったわ、本当によかった…!」


「苦しいよ」


お母さんにも、たくさん心配かけたな…。


その「よかった」には、いろんな意味が込められているんだろう。