ー優来sideー
「これで最後です」
「はい、では運んでおきますね!」
「お願いします」
午後4時、すべての荷物がアパートから運び出された。
夏休みの間住んでいたこのアパートとも、お別れか…。
「優来、家戻るのか?」
懐かしんでいると、後ろから北斗くんに声をかけられた。
「うん。早く家族に会いたい」
メールや電話はしてても、未来にぃとしか会わなかったから。
「そっか。なら、俺も一緒に行くよ」
「えっ、でも…」
「一緒にいたいだけだから」
「……そんなこと、よく恥ずかしげもなく言えるね…」
「まあ、芸能人ですから。…なーんて、優来にしか言わないよ」
余計に恥ずかしい…。
「…芸能人が素顔でいちゃいけませんっ」
「はいはい、これでいい?」
そう言って、北斗くんはメガネをかけた。
「よろしい。バレたら大変なんだから」
「俺はいいけどね、バレても」
「よくないでしょ!」
何を言っているんだ!
「いいじゃん、この人が俺の大切な人ですって見せつけてやりたいよ」
「~っ、恥ずかしい!」
「照れ屋さん♪」
なんでそんなにもご機嫌なのか分からない!