夏休みの魔法


「…最初に千来として見たとき、似てるなって思ったんだ」


ソファーに隣同士で座り、ポツポツと俺の気持ちを話す。


「でも、あの子は女の子で、だから違うって思ってたんだけど。ふとした瞬間に見せる、あの強い瞳が…同じだったんだ」


優来は、黙って聞いていてくれる。


「あの瞳が怖くて、でもすごく惹かれて。…ああ、好きなんだなぁって」


「…男の子だったら、どうしてたの?」


「憧れてたと思うよ。恋愛ってことは絶対にありえない」


そう言うと、優来は声をあげて笑った。


笑った後、思いついたように優来が話し出した。


「…あたしね、北斗くんの作った顔嫌いなの。見てて悲しくなるし、辛い。この間の撮影も作ってたでしょ」


「それは…」


「でもねぇ、それが分かるのがあたしとCOLORFULだけっていうのは、ちょっと嬉しい」


そう言ってはにかんだ。


「…精神的に不安定なときは、作ってたよ。特に夏は、またあの子に会いたい、とか思ってたから」


「…え…」


優来が驚いたように、俺を見る。


「ずっと会いたいと思ってたんだよ?」


そう言うと、優来はまた泣き出した。


「なんで泣くの!?」


「嬉しくて…。会いたいって思っててくれたんだ…」


「…いつも思ってたよ。心の支えだったんだ」


嬉し泣きをする優来が可愛くて、そっと抱きしめる。