夏休みの魔法


COLORFULと書かれた楽屋を見つけ、ノックした。


「はーい?…ああ、北斗。お疲れ」


出てきたのは夕哉だった。


「おー」


「どう、できた?」


「なんとか。でも題名が決まらなくて」


「題名かぁ、僕そのまんまになっちゃったよ」


「空の、なんだっけ?」


「えっとね、For Your Smile」


おお、確かにそのまんま…。


でも空っぽくていいよな~。


って、あれ?


「千来は?」


「あー…」


…なんで目そらすんだ?


「…北斗、これ」


「なんだよ夕哉。…手紙?誰から…」


封筒を裏返しても、名前は書いてない。


「なに、これ。読んでいいの?」


確認をとると、頷いた。


封を破って、逆さを向ける。


コロンと、紙じゃなくてピンが出てきた。


「…黄色い星…?」


よく見ると、それには“H”と彫られていた。


「俺のイニシャル?」


ほんと、誰からだよ。


そう思って、手紙を引っ張り出す。