夏休みの魔法


とにかく、俺のやることは終わったんだ。


みんなと合流しよう。


「失礼しました」


「ああ、北斗。一言だけ」


社長室を出ようとしたら、呼び止められた。


「…恋愛は自由だからね。仕事に活きてくるなら、干渉するつもりはないよ。ただし、相手を大切にしない恋愛は、認めないよ」


「…はい」


…ほら、やっぱり気づいてるんじゃん。


それ以上は何も言うつもりがなさそうだったので、俺はお辞儀をして、今度こそ社長室を出た。


そして、みんながいるビルへ向かう。


…社長にはああ言われたけど、俺は千来に気持ちを伝える気はない。


伝えられると思わない。


きっともう、失ってしまったから…。