とにかく、俺のやることは終わったんだ。
みんなと合流しよう。
「失礼しました」
「ああ、北斗。一言だけ」
社長室を出ようとしたら、呼び止められた。
「…恋愛は自由だからね。仕事に活きてくるなら、干渉するつもりはないよ。ただし、相手を大切にしない恋愛は、認めないよ」
「…はい」
…ほら、やっぱり気づいてるんじゃん。
それ以上は何も言うつもりがなさそうだったので、俺はお辞儀をして、今度こそ社長室を出た。
そして、みんながいるビルへ向かう。
…社長にはああ言われたけど、俺は千来に気持ちを伝える気はない。
伝えられると思わない。
きっともう、失ってしまったから…。

