ー北斗sideー

俺は今、START事務所の社長室にいる。


「で。なんで呼び出されたのか、分かるな?」


社長と一対一。


正直、威圧感がハンパない。


「はい…」


「まあね、別に期限があったわけじゃないけど。他の子はみんな出しちゃったからね」


「…はい…」


「あとは君だけなんだよ。ってことで、頑張って」


「はい…」


なんで呼び出されたのか。


作詞が終わっていないから。


どうしようか悩んでいるうちに時間が過ぎてしまっていた。


…なんて、言い訳にもならない。


はぁ…ほんと、どうしよう。


「…北斗」


「はい?」


「あの子のこと、助けたんだってね」


あの子……千来のこと。


「警察から聞いたよ。まさか、飛び降りるとは思わなかったって驚かれた」


「すみません…」


あのときは、ただ必死だった。


「謝ることじゃない、ほめてるんだよ。よく助けたね。あんまりできることじゃない。……でもまあ、それとこれは別だから」


「…分かってます…」