夏休みの魔法


「…だから?」


「え…?」


「だから、何?君が勝手にやったことでも、蒼は俺たちを騙してたことになるんだってことくらい、分かるでしょ?」


「っ…それは…」


正論だ、何も言えない。


「蒼…」


「いいよ、夕哉。どうにでもしろよ。もう、とっくに覚悟はできてんだ」


「…そう。なら、今から言うことにはすべてイエスで答えろ。…一つ、もう二度と俺たちを騙さないこと」


「ああ」


「二つ、二人の関係を明かすこと」


「…ああ」


「三つ」


夕哉くんはそこで言葉を区切り、蒼の頭に手を置いた。


「…芸能界辞めるなんて言わずに、俺たちと最高のグループでいること」


そしてその手で、ぐしゃぐしゃと頭をかきまわした。


「夕哉…」


蒼が目を見張ってみると、夕哉くんはいたずらっ子のように笑った。


「そりゃあ、なんで言ってくれなかったんだってちょっとムカついたけど。これからも俺たちと一緒にやってくって約束するなら、許してあげる」


「ああ…!みんなで、最高のグループでいたい。…ありがとう」