夏休みの魔法


「……千来?」


「何言ってんだよ、いきなり」


「エイプリルフールはまだ先だよ?」


「冗談、だよね?」


蒼以外、呆然としている。


「…本当、です」


あたしが肯定すると、信じられないという顔をした。


その中で、やっぱりリーダーというべきか、夕哉くんが一番立ち直りが早かった。


「…ちゃんと説明して」


混乱した、でも鋭い瞳が、あたしを射抜く。


「…あたしの本当の名前は、咲島優来。木崎重吾の、実の娘です」


「木崎さんの…娘…!?」


「じゃあ、年齢…」


「高校二年生です」


夕哉くんが、顔をしかめる。


「…なんで気づかなかったんだろうな。不自然な点は山ほどあったのに」


「メディア露出禁止、木崎さんに対しての態度…。どれも不可解だった」


「…騙していて、本当にごめんなさい。でも、あたしの話、聞いてください」


すべてを、包み隠さず。