夏休みの魔法


打ち合わせのため、会議室へ移動した。


さすがに入らせてもらえないだろうなーと思っていたら、


「何そんなとこで突っ立ってんの。早くおいで」


優しく笑った夕哉くんが、手招きしてくれた。


「…いいんですか?」


「俺たちといなくて、どこにいるつもり?」


思わず尋ねてしまったら、逆に質問で返された。


「ありがとうございます!」


仲間だって思ってくれているのが、嬉しい。





打ち合わせはすぐに始まった。


曲調を決めて、どこまでの音なら出せるか、とか、あたしじゃ理解できないようなことを話していた。


打ち合わせしているときの顔は、みんな真剣で。


少しでもいいものを作りたいっていう気持ちが伝わってきた。


「…それじゃあ、これでいいね」


「はい、お願いします!」


「君たちみたいな人に歌ってもらえて嬉しいよ。全力で作らせてもらうね」


笑顔で作曲家さんは帰って行った。