「…すげぇ…」
しばらくは口が聞ける状態じゃなかった。
誰もが、あの子の演技に圧倒されていた。
「絶対、あの子は受かるよ!」
空が瞳を輝かせて興奮していた。
「…俺もそう思う…」
というか、ただ単に、俺は。
「受かって、ほしいな…」
「珍しいな、北斗。お前が人に執着するなんて」
「ちょっと待って、水月。俺をどんな人間だと思ってるの。俺だって執着くらいするわ!尊敬する先輩だって、ちゃんといるわ!」
「木崎さんか。先輩はおいておいて、それでも一線おくだろう」
「おいてないって!だいたい、俺がお前らに一線おいてるか!?」
そこまできて、水月は初めてあぁそうか、という顔をした。
…改めて思う。
水月は俺を人間だと思ってない!

