夏休みの魔法


ふっと、夕哉が笑った。


「…よし、行こう!手分けして探すんだ。蒼は千来と電話が繋がってるから、何かあったらすぐ知らせられるよう、水月と一緒に行動すること」


「分かった」


「空と陽汰はさっき千来がいるって言った六階に行って。移動している可能性が高いから、いなかったら他のフロアを探して」


「「了解!」」


「俺と北斗は分かれて探そう」


「…夕哉…」


手早い指示に呆気にとられらていると、みんなに笑われた。


「なにぼーっとしてんだよ。行くんだろ」


陽汰が、ニヤッと笑う。


「人数は多いほうがいいに決まっている」


当然のように言う、水月。


「北斗一人で行かせられるかよ」


蒼…こういうときは、かっこいいよね。


「仲間なんだから、当然でしょっ」


にこっと笑う空。


「…千来を大切だと思ってるのは、なにもお前だけじゃないんだよ」


…ほんと、頼れるリーダーだよ。


「ああ。行こう」


「ちょっ、ちょっと待ちなさい!」


プロデューサーさんが、引き止めようとした。


「…すみません、行かせてください。大切な仲間を、助けに行かなきゃいけないんです」


俺はそれだけ言って、引き止める声も聞かずにスタジオを出た。