夏休みの魔法


六人での撮影も終わり、私服に着替えてメイクを落とした。


すべて元通りになったところで、千来がいないことに気がついた。


「千来は?」


蒼も同じことを思っていたらしく、夕哉に聞いた。


「さっき出て行くって言って、スタジオ出てったけど…。早く戻ってこいって言ったのに…」


「電話してみようか」


そう言って、蒼がスマホを取り出したとき。


「COLORFUL!大変なことになった!!」


取り乱した様子で、撮影のプロデューサーさんが走ってきた。


「どうしたんですか?」


「…このビルに、逃走中の強盗犯が入り込んだと、たった今警察から連絡が入った」


……え…?


「強盗犯!?」


「だから、このスタジオから出てはいけないよ。警察が探しているけど、このビルは広いからね。見つかるまでは待機だそうだ」


「そんな…」


「蒼、すぐに千来に電話をかけろ!」


夕哉が切羽詰まった声で言う。


「ああ!」


青白い顔をしながら、蒼がスマホを操作する。


スピーカーに切り替え、俺たちにも聞こえるようにした。