そうこうしているうちに、テストが始まる。
へー、二人一組でやるのか。
声は聞こえないけど、迫力があるかないかは分かる。
俺だって、伊達に見習い2年くらいもやってないし。
「…北斗、どう思う?」
一組目を見終えて、夕哉がそう聞いてきた。
「なんで俺!?」
「北斗が一番演技うまいと思うから」
…え、なんか嬉しい。
けど、なぁ…。
「なんっつーか…その……」
俺は言葉で表しえなくて、頭をかいた。
「…中途半端…?気持ちの入り方が、声聞いてないとあんま伝わらない」
あくまで、みた感じ。
声を入れれば変わる場合だってある。
「そっか」
「でも、一生懸命な感じは伝わるよ」
こっちの世界に、入りたいんだなぁって。

