ズキン、と、胸が痛んだ。 北斗くんが完璧な顔を作ってから、撮影はスムーズに進んだ。 …嫌だ、見たくない。 そんな顔は、見たくない。 「千来?どうした」 硬直してしまったあたしに、夕哉が声をかける。 「…なんでもありません。…少し、外してもいいですか」 ここにいたくない。 北斗くんのあの顔を見たくない。 「いいけど…早く帰ってこいよ」 「はい」 一刻も早くここを出たくて。 でも走ったら変に思われるから。 早足で、スタジオから出た。