夏休みの魔法


「千来ちゃーん、北斗くんの撮影順番……失礼したわね、アタシは何も見てないわ、続けてちょうだい」


「桜木さん!?違いますから!出て行こうとしないでください~!」


慌てて北斗くんから離れて、桜木さんを引き止める。


「大丈夫よ、アタシ誰にも言わないから。男同士とか、そんなのは関係ないわ!」


「だから誤解ですって!北斗くんですね、あとはヘアピンつけるだけですから!」


黄色い星のヘアピンを左耳の上につける。


「できました。…北斗くん?」


そういえば、あたしと桜木さんが言い合っている時も、何も言わなかったな…。


呼んでも反応しないし…。


…なんか、顔赤い…?


「北斗くん、撮影だそうですよ」


「あっ、ああ…。……ありがとう」


放心状態だったのかな?


「そうだ、千来ちゃん、これ着てちょうだいね。メイクしてあげるから」


そう言って桜木さんに渡されたのは、体のラインが強調されて、胸元が開いている服。


「えっ!?これは…ちょっと…」


「大丈夫よ~、千来ちゃん細いし」


「いえ、そういうことではなくて…」


こんなの着たら、女だってバレる…!