夏休みの魔法


夕哉くんはまだウィッグをつけていなかったけど、似合うだろうと思った髪飾りとネックレス、指輪を渡しておいた。


さあ、次は…。


「千来、よろしく頼む」


「水月くん!?わ、もうできちゃってますね…」


豪華だけど派手ではない着物に身を包み、高くアップにされたウィッグをつけていた。


「…まさか、一生でこんなかっこうするとは思わなかった…」


「似合ってますよ?水月くん、普段でも和風っぽいですもん」


「女物で似合っていると言われても嬉しくはない」


「ええ~、どんなものでも似合ってたら得ですよ。…あ、目閉じてください」


水月くんはグロスじゃなくて、真っ赤な口紅。


白い肌と着物に映えるからね。


「…でーきたっ!あとは、簪…」


どれがいいかな、やっぱりしゃらしゃらした華とかだよね。


「さしますよ~」


右横に、赤い華の簪をさす。


「すごい綺麗…」


「……複雑だ。でもありがとう」


にこっと微笑んで、水月くんは撮影に行ってしまった。


うわ~、さっきの微笑みすっごく綺麗だったな…。


着物を着こなせるとか、すごすぎでしょ!