夏休みの魔法


空くんと少し話していると、すぐにメイクさんがみえて、空くんのメイクを始めた。


入れ違いに夕哉くんのメイクが終わった。


「うわ…すごく綺麗…」


思わずそう呟いてしまった。


目元は黒いアイラインで強調されていて、おまけに紫のアイシャドウ。


一見ビジュアル系に見えるけど、夕哉くんだからなのか、大人のクールな人に見える。


「あんまりジロジロ見ないでよ、恥ずかしい」


「すっ、すみません!すぐに始めます!」


慌てて色を考える。


やっぱり無難に赤?


あ、そうだ!


「…ワインレッド?」


「はい。赤よりも暗いんですけど、大人っぽいからいいかなって」


「へー…。女装が趣味なだけあって、詳しいね」


「へっ!?いや~、そんなに詳しくは…」


普段メイクなんてしないし。


「あっ、そうだ!ねぇ桜木さん、千来にも女装させてあげてくれません?」


夕哉くん!?


「あら、名案ね!全員終わったらアタシがやってあげるわ!」


「よかったな~、千来!一流の桜木さんにやってもらえて!」


「い、いえ、僕はそんな…。もったいないですし…」


困る、すごく困る!


「こんな機会めったにないよ?何事も経験、やってもらいな?」


う…夕哉くんにそこまで言われると、断れない…。


「…じゃあ、お言葉に甘えて…」


なんだかんだ言っても、プロのメイクさんにメイクしてもらうのは、やっぱり嬉しいわけで。


どんな風に変わるのか、楽しみだった。