夏休みの魔法


ちょうどそこへ、桜木さんがみえた。


「あら、よくできてるわね~。夕哉くんはもう少しかかりそうだから、次は空くんのをお願いするわ」


「千来ちゃん、よろしくね」


そう言った空くんは、すでにロリータの服を着て、クリーム色で縦巻きツインテールのウィッグをかぶっていた。


「…え!?すっごい可愛い…」


「こら~、年上に向かって可愛いとか言うな~。嬉しいけどね」


「あっ、すみません!」


ていうか、嬉しいんだ…。


「千来ちゃん、僕のは唇とアクセサリーだよ」


「アクセサリーって、どこにあるんですか?」


「千来ちゃんの真後ろのドレッサーの前」


言われて振り返ると…うわ、たくさんあった。


ロリータっぽいの…ふわふわしてて、レースがたくさんあしらってあるの…。


「あった!」


あたしはそれを持って、空くんのところへ戻る。


「唇はピンクのグロスにしますね」


「よろしく~」


…うわ、空くんってこのままでもほんと女の子じゃん…。


そんなことを思いながら、陽汰くんのときよりも色が出るように塗った。


「できました、あとはこのカチューシャつけてください」


あたしは手にしていたピンクのレースつきカチューシャを、空くんの頭にセットした。


「うわ、すっごいロリータ…。ありがとね!」


「めちゃくちゃ似合ってますよ」


空くんが動くたび、スカートがふわふわと揺れる。


「そりゃー僕だもん!」


そうですよね、可愛い担当、三条空ですもんね!