「ああ、ついにこの日が来てしまった…」
今日は朝から仕事。
COLORFULの楽屋でなぜか嘆いているのは、夕哉くん。
「どうしたんですか?」
めずらしいと思いつつ、聞いてみる。
「今日なんだよ!ついに!」
「………はい?」
こんなにテンパってる夕哉くん、初めて見たかも。
いやいや、それよりも。
「…今日って、雑誌の撮影ですよね?」
「そう!ただし、ただの撮影じゃない」
え、そうなの?
「今日はね~、女装するんだよ!」
空くんが、にっこりと教えてくれた。
「ああ、なるほど…。それでみなさんテンション低めなんですね」
夕哉くんは逆の方向行きすぎて高いけど。
「そ~。別にいいのにね、女装くらい」
「よくねぇだろ!陽汰とかが女装してみろ!?いい笑いものだ!」
「ちょっ、蒼それはひどくねぇ!?」
ああ…陽汰くんと蒼の言い争いが始まってしまった…。
それを傍観していると、ふいに肩をたたかれた。
「と、いうわけだ。よろしくな」
「水月くん?よろしくって、何がですか?」
なんだか今日はみんな主語がないな。
「前に言っていただろう、女装するときはメイクを頼むと」
「…言ってましたけど、本当に僕がしていいんですかね?」
芸能人にプロには程遠いあたしがメイク施しちゃって。

