夏休みの魔法


細過ぎる千来の両手首を掴み、壁に押し付ける。


「っ…」


千来の顔が歪む。


「なんでSTART事務所に入った?木崎さんが関係しているのか?」


「ちがっ…」


ああ、木崎さんが関係しているのか。


そんなことは容易に分かった。


「お願いします、あと一週間だけいさせてください!夏休みの間だけの約束なんです…」


あと一週間だけいさせてください?


そんなの、俺が知ってしまったから、許されない。


「だめだ。そんなことが通じるほど、芸能界は甘くない。今すぐ辞めろ」


「分かってます、でも、まだみんなと離れたくないんです…!」


「そんなワガママが通じるわけないだろ!」