「…お前は、女の子、なのか…?」
「……………」
千来は、何も言わない。
聞かないで、辛い、痛い。
そう思っていることは、表情を見れば容易に分かる。
でも、俺としてもここは引くことはできない。
「…女の子なのか?木崎さんとどういう関係だ?」
「……ぼく、は…」
唇を噛みしめ、耐えるような表情。
「…ずっと、騙してたのか…?」
その言葉に、千来は顔を上げ、立ち上がった。
「それはっ…」
泣きそうな顔。
どうして泣かないのかが不思議なくらい、辛そうな顔。
「……ごめんなさい…」
俺の質問に答えてくれなくて、謝るだけの千来にいらっとした。
…感情に、任せてしまったんだ。
「ごめんなさいってなんだよ!」
バンッと机を叩いて、立ち上がる。
「女の子なんだろ!?木崎さんの娘なんだろ!?」
ほとんど叫んでいる状態で、千来に近づく。
条件反射で、俺が一歩近づくと、千来は一歩後ずさる。
「答えろよ…。俺たちを騙してたくせに!」
千来の後ろには、もう逃げ場がない。

