夏休みの魔法


「えー、本日はSTART事務所のオーディションを受けてくれてありがとうございます。審査内容は……」


司会者が話しているのを、受験者は真剣に聞いている。

俺たちも前にいることはいるけど…特にやることはない。


「……なお、最終審査の審査員は見習い、COLORFULの六人が務めます」


ここで、少しざわついた。



司会が、夕哉に変わる。


「初めまして、COLORFULリーダーの和泉夕哉です。今日は力の限り、頑張ってください」

爽やかな好青年。


そんなイメージの夕哉に、みんなは見惚れていた。



「では、No.1からNo.10の人を除いて控え室で待機していてください」



ここで、俺たちも楽屋に戻る。


ふと、ある受験者に目が止まった。


No.5のプレートをつけた子。



「え…?」



目を、疑った。



「北斗?戻るぞ」

陽汰に言われなければ、ずっと立ちすくんだままだったと思う。





それほどに、その子は。







あの女の子に、似ていたんだ…。