ふーっ…。
つい息を忘れていた。
それは俺だけではなくて。
「…なんだか、すごいですね」
千来も呆然としていた。
「そうだな、すごいよな」
俺も、そんなありきたりの答えしかできなかった。
夢見心地だった俺の意識を現実に戻した。
「……眩しい、です」
ハッと、千来を見た。
「芸能界って、芸能人って…眩しいです…」
ぽうっと、まるで恋をしているかのような。
頬を桃色に染めて、憂いを秘めたような瞳。
ドクンッと、心臓が鳴った。
木崎さんの演技を見ていたときと、同じくらい、もしくはそれ以上の速さで。
俺の心臓は鳴り響く。
誰かに聞かれるんじゃないかと、思うくらい。
その音は、すべてを証明していた。
…俺は、確信してしまった。
千来は、女の子だ……。

