「お、みんなで来てくれたのか!」
木崎さんが俺たちを見つけて、近づいてきてくれた。
「はい、今日はよろしくお願いします!」
「木崎さんの演技、盗みにきました!!」
おい、蒼…確かにその通りだけど…。
「あっはははは!まさか堂々と盗みにきた、って言うなんてね。…そのいきだよ。でも、そう簡単に盗まれちゃ困るね」
木崎さんはニヤリと笑った。
「…頑張ります!」
「うん、頑張れ」
そこまで話して、監督が木崎さんを呼んだ。
「おっと。…それじゃ、あとでね」
「はい!」
木崎さんが呼ばれたほうに行く、一瞬前。
ほんの一瞬だけ、千来を見ていた。
……と、思った。
俺が疑ってかかっているから、そう見えてしまうんだろう。