「それこそウソだろ」
「なんで蒼にそんなこと言われなきゃいけないのー!」
思わず手元にあった枕を投げつけた。
「おわっ!お前…この距離で枕投げはないだろ…」
蒼だからいいの!
「あたし、別に好きな人とか、いないよ」
「…じゃあ、北斗のことどう思ってる」
「だから、北斗くんのことはファンとして好きなだけで」
「本当の北斗を知っても、か?」
「嫌いになるわけないよ」
「そうじゃなくて。恋愛として」
「有り得ない。北斗くんはあたしの手に届かないところの人だよ?それに、あたしは騙してる」
「手に届くとか騙してるとか、そういうのなしで。…本当の優来は、どう思ってる?」
…真剣な蒼の瞳から、目をそらせなかった。
いつだってそうだ。
蒼が真剣な目であたしを見ることなんてそんなにないのに、いや、だからかな。
あたしは、蒼のその瞳から、目をそらすことができない。
その瞳の前で、嘘をつくことが、できない。

