夏休みの魔法


……Why?


「なんで?」


「なんでって…。これだからお前は無防備なんだよ。俺だからしないものの、こんなことしてみろ、襲われるぞ」


「なっ…!」


なんてことを言うんだ!


「蒼のヘンタイ!」


「俺はしねぇって言ってんだろ!幼なじみに手出すかよ!」


「幼なじみから恋愛に発展するとか、マンガじゃよくあることでしょ!?」


「現実は現実なんだよ!自意識過剰か!」


「蒼が変なこと言うからじゃん!」


まったく!

今さら蒼が恋愛対象とか、絶対ない!


…あ、そういえば…。


「蒼ってさ、好きな人…とかいないの?」


「はぁ!?」


顔が赤くなった。


「なんでそんなこと聞くんだよ!?」


「いや、よく考えれば蒼ってあたしとばっかいたし。つきあってるとか噂流れてたし」


有り得ないんだけどね。


「……今はいない」


「あやしい…。今はってことは、昔はいたんだ?」


「そりゃ好きな人の一人や二人くらいいるもんだろ」


「だよね~」


「そういう優来は?」


あたし?


あたしか…。


「いない、かな」