夏休みの魔法


「…蒼、今8時くらいだよ、帰んなくて大丈夫?」


蒼は相変わらずあたしの課題を見ていた。


「うん。俺だって男だし、10時までに帰ればいいよ」


「ならいいけど」


そう言って、あたしは蒼の隣に腰掛けた。


「あー、もうムリ!」


「そりゃ蒼には難しいでしょうよ」


「…優来は解けるのかよ?」


「頑張ればいけると思う」


あたしは蒼から課題を奪い、机に向かって解きだした。


「………………」


「…優来~、おーい、優来…ああ、そういえば集中すると何も聞こえなくなるんだっけ…」


当然、あたしは何も聞こえていない。




「…やった、解けた!」


「え、マジ!?」

「まあね!あたしこれでも頭いい方だし」


「…優来は頭いいもんな~、俺の課題も教えてくれよ」


いつも課題は未来にぃと一緒に教えてあげてたっけ。


「去年は教えてもらったのに、今年はなかなかできないもんな~」


「未来にぃに教えてもらえば?」


「たまに教えてもらってる」


おお、さすが未来にぃ。