ー北斗sideー
今日は夏休みの始まりの日であり、START事務所のオーディションの日。
俺の所属するCOLORFULというグループは、見習いの中で最年長という理由で、審査員をやることになっていた。
今日の仕事は、それだけ。
「北斗、おはよっ」
楽屋に入ると、空がいた。
「おー、はよ」
他の4人はまだ来ていないようだ。
「今日、どんな子たちが来るかなっ!僕楽しみだな~」
空は大きな可愛らしい瞳をくりくりして、俺に話しかける。
「さぁ?空みたいに女っぽい子もいるんじゃない?」
「僕の可愛いキャラはあげない!」
むっとしたように言われたけど…
「別に、お前の場合キャラじゃないだろ。素がそれなんだから」
そう、空はよく可愛いキャラを作っていると言われるが、実際は本当にこんな可愛い性格なんだ。
「だって、僕お姉ちゃんしかいないもん」
そう、こいつは姉が二人いる。
いつも姉に可愛がられてきたせいで、甘えん坊になってしまった。
「…それがCOLORFULとしても味が出てるからいいけど」
思わず声がもれてしまった。
「へ?」
空が不思議そうに俺を見る。
「なんでもっ。…空は空でいいってこと」
そう言うと、空は嬉しそうに笑った。