「今日はありがとう、楽しかった」
「こちらこそ、ありがとうございました!気をつけて帰ってくださいね」
リビングで鞄をとって、その中にこそっと写真を入れた。
あ、帽子を忘れるところだった。
千来に言われてから、気持ちばかりの変装をするようにしていた。
顔が見えるか見えないか程度に、深くキャップをかぶる。
千来と蒼が玄関まで見送りにきてくれた。
「じゃ、また明日」
「はい!」
「じゃあな」
二人に見送られながら、俺はまだ暑い外へ出た。
アパートの階段をおりると、すぐに写真を取り出した。
そして、もう一度よく見る。
それでも、見間違いではなかった。
その写真に写っていたのは、ある家族だった。
一番左には男の子が笑ってる。
真ん中にはお父さんに抱っこされた女の子がピースをしていた。
右には、お母さんに抱っこされた赤ちゃん。
仲がよさそうな、家族。
「…なんで…?」
混乱するのも、当たり前だと思う。
だって、真ん中に写っていたお父さんは……
木崎さん、だったから。

