夏休みの魔法


「すみません、終わりました…って、北斗くん!そんなに机見ないでくださいよ、恥ずかしいです!」


いきなりドアが開いて、千来が入ってきた。


「あっ、ああ、悪い」


俺はとっさに、手に持っていた写真を背に隠した。


「特になにもないでしょう?」


「普通よりも少ない」


「ははっ、やっぱり」


いつ千来にバレるかとひやひやしているのに、千来は全く気づかない。


「あ、もう5時だ。ご飯作らなきゃ…。食べていきますか?」


「いや、俺はいいよ。妹待ってるし」


「そうですか。蒼くんはどうしますか?」


「俺はここにいる~」


「分かりました、なら作りますね!」


そう言って、千来はまた部屋を出て行った。


俺もそれに続く。




手には、写真を持ったまま。