夏休みの魔法


千来に何か秘密があると知ったあの日から、三日後。


俺は千来の家に来ていた。


正確に言えば、俺と蒼。


他は撮影現場を見に行くとか、ドラマの撮影だとかで来れなかった。


現在の時刻、午後2時。


「…ゲームでもします?」


「おー、やる!」


千来が提案して、蒼が乗った。


「じゃあ、持ってきますね~」


千来がリビングから出て行く。


そのすきに、俺は蒼に近寄った。


「なあ、蒼」

「なに?」


「………お前と千来って、どういう関係?」


直球すぎると思ったが、グダグダ回りくどいのは何を言いたかったのか、自分が分からなくなる。


すると、蒼は驚いた顔をした。



「…は!?何聞いてんの!?俺そーゆー趣味ないよ!?」


……馬鹿…。


「そういうこと聞いてんじゃねぇよ」


ああ…こんなにも蒼が馬鹿だとは思ってなかった。


「え、じゃあ何を…」

「お待たせしました~。どれやります?」


…千来が戻ってきてしまった。


まあいい、また今度でも。


「俺、これがいいな」









俺は、知らなかった。


さっきの蒼の言葉が、演技だったということを。


千来と話していたとき、蒼がじっと見ていたことを。