夏休みの魔法


楽屋に戻ったら、ちょうど俺の取材の番だった。


千来は隅っこで、取材の終わった夕哉たちと遊んでる。


「じゃあ、北斗くん。今回のテーマは“時間”なんですけど、今をどう思ってますか?」


出される質問に、思った通りに答えていく。


自分をさらけ出すのは大嫌いなクセに、思ったことをただ挙げていくのはあまり苦じゃない。


「はい、では最後です。もしも過去に戻れるなら、北斗くんはいつに戻りたいですか?」


「……過去…?」


戻りたい、時…。


そんなの決まってる、決まってるんだけど…。


その時に戻ったら、俺はメンバーと仲良くなかった。


そんなの、今となってはすごく嫌だ。




「…過去かあ、どうだろう、悩むな~」


「だよね~、俺もそれ悩んだ!」


いきなり乱入してきたのは、蒼。


「お前…入ってくんなよ」


「ひどっ」


とか言いつつ、ちょっと助かった。


全く、蒼は空気読めてるのか読めてないのか…。