夏休みの魔法


売店の前、千来が見えた。


声をかけようとして…とっさに柱の影に隠れた。


千来の横に、木崎さんがいた。


どうして隠れたのか、分からない。


でもなぜか…今二人の前に行ってはいけない、そう思った。


二人は深刻な顔をしていた。


何を話しているんだろう、まさか、まだ千来は木崎さんを嫌っているんだろうか。


そう思って、聞き耳をたてる。





「…もし、COLORFULに。嫌われたとして、忘れたいと思われて。それでも、ずっとファンでいる」



……え…?


今の、千来が言った…?


タメ口とか、そんなのは頭になかった。


俺たちが、千来を嫌う…?

忘れたいと思う…?


なんで、そんなこと…。


「…全部話して嫌われたって、お前は一人じゃない。蒼は、絶対お前の味方でいてくれるだろ?」


「…うんっ」




笑顔で頷く千来とは対照的に、俺は頭が混乱した。


全部話すって、何を?


蒼は絶対味方でいる?


千来と木崎さんはどういう関係?


千来と蒼は?










千来は、俺たちに、嘘を吐いている…?