夏休みの魔法


なんだかんだで買ってもらってしまった。


「ありがとうございます…」


「ん、いいよ」


お父さんはあたしの頭をぽんぽんした。


そのとき、スマホのバイブ音がなった。


「あ、電話だ…。すみません、ちょっと」


お父さんから少し離れて、スマホを取り出す。


ディスプレイには、如月北斗くんの文字。


「もしもし」


『遅い!やっぱり迷ってたんだろ!』


「すみません~!!今買えたので、すぐ戻ります!」


『はぁ…。いいよ、そこにいろ。迎えにいくから』


「え、でも取材始まってますよね?」


『俺のは後だから、大丈夫』


でも、そんなの悪い…。


そう思ってたら、またため息が聞こえた。


『また迷われるのも心配だから。お願い、そこにいて』


「…分かりました。……ありがとう、ございます」


それだけ言ったら、電話が切れた。


…心配、か…。


こんなこと思っちゃいけないのかもだけど、嬉しいな。


心配されるのって、大事に思われてるみたいで嬉しい。