夏休みの魔法


しばらく熱中してて、気づいたら午後1時だった。


「あっ、マズい!1時30分から雑誌の取材あるんだった!みんな早くご飯食べて」


時計を見た夕哉くんが、しまったという顔をした。


夕哉くんの言葉に、みんなご飯を食べ始める。


あたしも食べよ~……って、え?


「千来、どうかした?」


あたしが動かないのを不思議に思った北斗くんが、声をかける。


「お弁当……忘れました…」


「はぁっ!?」


しまったぁぁっ!


朝テーブルの上に置いたまま出てきちゃったんだ…!


「どうするんだよ」


「ごめんなさい、すぐ買ってきます!」


確か、このビルの中に売店あったはず…!


あたしはそう言い残してダッシュで買いに行った。


「あ、おい千来!」


だから、扉を閉めた後の北斗くんの言葉は、聞こえなかった。






「…お前、方向音痴だろ…。このビルの売店、見つけれんのか…?」