夏休みの魔法


みんなは早速どういう雰囲気のものにするかを考え始めた。


それぞれキャラとか価値観とかあるし…きっとバラバラの楽しい曲が出来るんだろうな。


その曲を聞ける前に、きっとあたしはみんなの前からいなくならなきゃいけない。


だけど、テレビの前でちゃんと聞いてるから。


…そのときが来るのを、心待ちにしてる。


もしかしたら…みんなはもう、あたしのことなんて忘れているかもしれない。

覚えていたくないかもしれない。


…それでも、いいんだ。



だってあたしが覚えてる。



この先何年経って、COLORFULが卒業して、今よりもっともっと有名になって。


もっと忙しくなって、もっと仲間同士絆が深まって。


…もっと、自分を隠して、作っていかなきゃならなくなったとしても。




あたしが、今この瞬間、高校2年生の夏休み、COLORFULと一緒に過ごしたことは紛れもない事実だから。





みんなは、立ち止まらずに歩いていってほしい。


たとえ立ち止まっても、振り返ってもまた強く揃って歩んでいってほしい。




その姿を、ずっとずっと、密かに影から、見守らせてください…。