夏休みの魔法


すると、夕哉くんは驚いた顔をした。


「え、僕変なこと言いました!?」


「いや…そっか、あの北斗がすぐに気を許したわけだと思って」


「…?」


夕哉くんの言っている意味が分からない。


「…COLORFULになってすぐは、北斗だけ馴染めてなかったんだ。いつも一線引いたところで俺たちを見てた」


ああ…。

2年前の、夏休みだ。


「本人にその気はなかったんだけど、どうしても冷めてる感じがしてて…。俺たちと関わるのが嫌だって言われてるみたいだった」


夕哉くんは、懐かしそうに話す。


「でも…あるとき、それがあまり感じなくなったんだ。ちょっとずつ、関わろうとしてくれて。それが…どうしようもなく嬉しかった」


いきなりあたしの目を見て、夕哉くんは真剣な顔になった。


「…あのとき、北斗になにがあったか知らない。あいつはたまに精神的不安定な状態になる。特に、夏は」


蒼も、同じようなことを言っていた。

夏は特にそうなると。


「だけど、今年は違う。むしろ…今までで一番生き生きしてると思う。…千来の、おかげだと思うんだ」


「僕の…?」