夏休みの魔法


夕哉くんになら、いいかな…。

COLORFULのリーダーだし、お兄ちゃん的存在だし。



「…一人だけのページの北斗くんの笑顔が、作っているみたいで…」


言った瞬間、夕哉くんの纏う空気が少し変わった気がした。



「…そっか、千来には分かるのか…」


悲しそうにあたしを見た。



「…こういう作った完璧な笑顔の北斗は、嫌い?」



……嫌い…?


「……好きでは、ないです。むしろ嫌い、です」


だって辛そうだから。


見てて苦しいから。



夕哉くんが、寂しそうに笑った。

「そっか…」


「でも」


あたしは続ける。


「でも…それも含めて北斗くんであって、そうするしかならないのであったのなら、全て含めた北斗くんが好きです」


あたしが好きなのは、「如月北斗」。


作った笑顔でも、ニセモノの笑顔でも。


北斗くんがそうしたのならば、北斗くんが生み出したのならば、あたしは受け止める。