夏休みの魔法


しばらくトランプをやっていた。


思いの外石榴が強くて、たくさんゲームを知っていた。


やっている途中で眠くなったのか、二人の目がとろんとしていた。


「眠いなら寝ていいぞ」


「やだ~、起きてる…」


そんなことをグダグダやっていたが、睡魔には勝てずに寝てしまった。



すーすーと寝息をたてて、二人寄り添って寝ている。


風邪をひかないようにタオルケットを持ってきてかけてやった。


「…寝顔、可愛い」


千来が優しく笑った。


「……あのさ」


「はい?」


呼びかけてみたものの、話したいことが話していいことなのか分からず、すぐには口を開けなかった。




「…木崎さんと…どうなった?」



ピクッと、千来が反応する。


「言いたくなかったら、別に言わなくても…」


すると、今度は首を横にゆっくり振った。


「もう、大丈夫です。僕の誤解でした。…たくさんひどいこと言って、すみませんでした」


まさか謝られるとは思ってなくて驚いた。


「いや、謝ってもらうことではないけど…。そっか、大丈夫か…」


よかった。


やっぱり上下関係は大事だしな。




「…北斗くんのおかげです。北斗くんが、守ってやるって言ってくれたから、勇気出せたんです」


「俺は、なにも…」


なにもしてない。



「ありがとうございました。…やっぱり、北斗くんは僕の憧れです。いつでも、光をくれる」


「俺…光、あげられた?」

恐る恐る聞くと、千来は満面の笑みで笑ってくれた。





それから他愛もない話をして、そのうちに寝てしまった。