夏休みの魔法


気づけば、もうお昼だった。


「お兄ちゃん、お腹すいた」


「夏日はなに食べたい?」


「そうめん!」


そうめん…夏の定番だな。


「じゃあそうめんにするか…」


「僕手伝いますよ」


千来は料理うまいし、お言葉に甘えて手伝ってもらうことにした。


…手伝ってもらうというより、実際はほぼ千来がやってくれるんだけどね。


「そうめんだけじゃ栄養とれないんで、野菜ありますか?野菜炒めでも作れればいいんですけど」


「あー、キャベツとにんじんと…もやしとソーセージならある」


「十分です!」


千来は慣れた手つきで包丁を握り、野菜を切っていく。


「…俺なにすればいい?」


「そうめんゆでてもらえますか?」


「了解」


鍋に水をたっぷり入れて、火にかける。


「あたしもやるっ!」


「こら、危ないから向こうで遊んでろ」


石榴が手伝いにきた。


きてくれたのは嬉しいんだけど…まだ危ないと思う。


「ぶーっ」


ふくれて、夏日と一緒に部屋に入っていった。


その姿を見て、千来はクスクス笑っていた。


「…なに笑ってんだよ」


「ごめんなさい、でも、北斗くんが過保護すぎて。あんまりやりすぎるとシスコンですよ」


シスコンて…お前…。


「うっさい、過保護で何が悪い」


「北斗くん、石榴ちゃんと夏日ちゃんに彼氏でもできたら発狂しちゃうんじゃないですか?」


「彼氏!?許さねぇ…まだ早い!」


「ほら」


千来に笑われるけど、俺は断じて認めない。


俺はシスコンじゃねぇ!


ただ妹たちが大切なだけだ!