夏休みの魔法


三人はすぐ仲良くなって、しばらく話していた。


「千来くん、お兄ちゃんと仲いいの?」


「うーん、仲いいっていうより…なんて言うんだろ」

石榴からの質問に、うーんとうなっている千来。


「え~、なに、千来俺と仲良くないと思ってたの?うわ~、ショックだなぁ」


わざとらしく、そう言ってみる。


「えっ!?そんなんじゃないんですけど!仲いいって言っていいならそう言いたいんですけど、そうじゃなくて…!」


焦る千来がおもしろいから、もう少しイジメてやろう。


「ふーん…じゃ、なに?仲良いわけじゃないんでしょ?」


「なんていうか…先輩に対して仲いいって言っていいのか…!」


ああもう、男の子のクセに可愛いなぁ。


「で?結局千来にとって俺はどんな先輩?」


「憧れで、大好きな先輩です!」


言った後で照れている。


…大好きな先輩、かぁ…。


「憧れってだけでも、信じられないくらい嬉しかったのに」


大好き、なんて言われたら…。


「え?なんて言いました?」


さっき呟いた言葉を聞き返してくる。


「いや、なんでもない」


そう言って、俺は笑った。


千来は不服そうにしてるけど。








…もし、もしあの女の子が、俺の中から消えてしまっても。


千来が、COLORFULがいてくれる。


だから、俺はきっと大丈夫だ。




夢から離れて、現実を見ても。