夏休みの魔法


しばらく歩くと、マンションにつく。


「…たっかい!」


見上げて驚いてる千来をよそに、俺は中に入る。

マンション見て驚くとか、ほんとに東京に住んでるのかよ…。


「早くしろ~」

「あっ、はい!」


千来が慌てて走ってくる。


来たところで、ちょうどエレベーターがきた。


中にはいって、十階を押す。


「十階!?高くないですか!?」


「まあ、高いほうだな」


「一体何階まである……二十階!?」


ころころ表情が変わる千来は、見ていて飽きない。


「…もしかして北斗くんって…」


「いや、両親普通にサラリーマン」


千来の言わんとするところが分かって、先に答える。


俺に答えられた千来は、なんで分かったって顔をしてた。


「千来はすぐ顔にでるんだよ、正直だから」


それがいいところであり、悪いとこなんだけど。


まあ、それが千来だから、変わらないでいてほしいな。