夏休みの魔法


千来は嘘を言わない。


だからこそ、千来の言葉は信用できる。


千来がそうだと言うんなら、きっとそうなんだろう、俺は自覚ないけど。


「今日何してた?」


「宿題してましたよ」


「中学生も大変だなぁ」

「…宿題、多いんですよ…」


げんなりした表情を見て、思わず笑ってしまう。


「俺は最初に終わらせる派だけど、千来は?」


「最初に終わらせたいんですけど…なんだかんだで最後まで残ってます」


一番多そうなパターンだな。


「毎年、今年こそは!って思うんですけどね…」


あははと笑う千来に、少し呆れる。


「頑張ってみろよ…」

「あ、今こいつダメだって思いました!?」

「…思ってない」

「うそ!」


なんでだろうな、なんで千来にはなんでもバレるんだろ。


千来は俺のこと、なんでもお見通しだ。


それが悔しいんだけど、それでもいいかとも思う。


年下の男の子相手に何やってんだろうな、俺は…。