夏休みの魔法


すると、蒼はにかっと笑った。


「それでこそ、優来だ!」



黒に近い焦げ茶色の髪、同じ色の瞳。

芸能人だけあって整っている顔は、笑うとよりいっそう人を惹きつける。



「…そっか、蒼も芸能人だ…」


「なに今更言ってんだよ」


…苦笑された。


「だって、あたしにとって蒼は幼なじみだし。…あー、でもテレビ出てると…前より遠いなぁって思う」


「その世界に、優来は来るんだよ。夏休みだけだけどね」




そうだ。



あたしは、違う世界みたいな場所に入るんだ。








いつもテレビで見ていた、キラキラした世界。


それでも、それは一部分にすぎない。




ドロドロしたものも、見るんだろう。







それでも…






あなたのいる世界だから。






…北斗くん…