夏休みの魔法


そんなお父さんを、お母さんは信じてた。


未来にぃも、希来も。


でも、あたしは信じられなかった。


北斗くんの言った通り。


あたしは、メディアでの“木崎重吾”しか見てなかった。


結局、一般の人たちと同じ視線でしか見れてなかった。


家族なのに、娘なのに。


お父さんを、咲島重吾として、お父さんとして見れなかった。




…最低だ…。


一番信じて、支えてあげなければならない立場の家族であるあたしが、信じられなかった。


情けない。


あたしは、メディアの本質を知らなかった。


その裏に隠されてしまっているお父さんの本心を、見抜くことができなかった。





どうして信じることができるのか、分からなかったけど。


ようやく分かった。


お母さんは、未来にぃは、希来は。


お父さんの本心を分かってたんだ。



家族を愛してるって。



だから、信じてたんだ。