夏休みの魔法


「あ、俺優来呼んでくるよ」


「ん…ああ…」

「どうしたの?優来となんかあった?」


あたしの名前が出て、驚いた。


さっきよりも、さらに集中して話を聞く。


「いや…なんで優来が、男装してまでSTART入ったのかなって。断ればいい話だったのにさ」


「俺は、受けると思ってたけどね」


…未来にぃ?


「正直、優来はお父さんのこと嫌ってるよ」

「知ってる」


「でも、それでも、それ以上にさ、やっぱ親子って強いと思う」


それに、と未来にぃは続ける。


「優来、真っ直ぐだから。なんでお母さんが入れって言ったのか、その理由を見つけたかったんじゃない?」


聞いてて、びっくりした。


だって、未来にぃが言ってることはあたしが思ってたことだったから。


未来にぃ…よく見ててくれてるんだ…。